「我々が日本の治安を守り抜く」——凶悪事件と闘ってきた140年の歴史
警視庁は創立百四十周年を記念して、全職員約五万人を対象に、「重大事件アンケート」を実施。百四十年間で警視庁が関わった事件・事故・警備等で重大だと思うものを三つ選び、その理由も答えるという形式で、約四万五千人から回答があった。詳細は別表の通りである。
捜査の第一線に立つ現職の職員から見えた重大事件とは何か。第八十八代警視総監の池田克彦氏とノンフィクション作家の柳田邦男氏に、アンケート結果を基に警視庁百四十年の歴史を振り返ってもらった。
池田 アンケート結果を見て最初に思ったのは、上位十位までに東京で発生していない事件が三つも入っていることです。五輪やサミット、皇室行事などの国家的行事も数多く見られる。警視庁とは単に東京の警察というだけではなく、日本全国を代表する警察だということを改めて実感しました。
また、未解決事件や殉職事件も目につきますね。警察官による不祥事案も幾つか上位に入っている。これらは全て、それぞれの職員の心に重くのしかかっている事件だと思います。
いずれにしても、現在の警視庁をいろいろな角度から象徴している、そんなアンケート結果だなと感じました。
柳田 こうして警視庁が関わってきた多くの事件を並べてみると、この国の現代史そのものだと言えますね。残忍な少年犯罪も、思想的なテロも、その時代のありようを色濃く反映していることが分かります。時代が抱えている問題や矛盾が、事件という形で現れているのではないでしょうか。
オウム事件の謎は解けていない
柳田 私たちも警視庁職員の皆さんと同じように、重大だと思う事件を三つ選びました。その第一が平成七年のオウム真理教事件(一位)です。
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source : 文藝春秋 2014年04月号