靖国参拝 激怒するアメリカ、暗躍する中韓

最高のメンバーがのべ8時間論じ尽くした

春名 幹男 国際ジャーナリスト
宮家 邦彦 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹
後藤 謙次 政治ジャーナリスト
佐藤 優 作家・元外務省主任分析官
ヘンリー・S・ストークス ジャーナリスト
前原 誠司 衆議院議員
ニュース 政治 国際 中国 韓国・北朝鮮

世界中から続々寄せられる非難——。

なぜ安倍首相は決行したのか。そして、いわれなき批判にどう立ち向かうべきか

靖国神社 ©文藝春秋

アメリカ 米国知日派も「行くな」

 後藤 今年の自民党の仕事始めは政治関係者の間で少なからぬ話題を呼びました。式の冒頭、国旗を前に国歌斉唱が行なわれたのです。我々は長い間、自民党を取材してきましたが、仕事始めに君が代なんて聞いたことはなかった。聞けば安倍晋三氏が首相に就任してから始まったことのようですが、議員のなかには複雑な表情を浮かべる人もいたようです。

 こんなエピソードを紹介したのも、昨年末の靖国参拝に対する海外からの視線が厳しいからです。特に問題は、アメリカから「失望した」と前代未聞のクレームがつけられたことです。中国とは尖閣問題で対立、韓国も反日外交を展開し、両国とは首脳会談も開けないでいる。なぜそんなタイミングで安倍首相は靖国参拝を強行したのかということでしょう。

 前原 やはり公約実行による保守層へのアピールの面があると思います。しかし、政権発足一周年に参拝したというのですが、そうした安倍さんの個人的な記念日と靖国神社に参ることとは本来無関係でしょう。英霊を追悼するという本来の目的から大きくかけ離れており、海外に対しても説得力のある説明になっていない。

 春名 アメリカが強く反発した根底には、安倍政権が打ち出してきた政策、村山・河野談話の見直し、憲法改正、そして靖国参拝が一つの同じ方向を向いていることがあります。それは戦後レジームからの脱却ですね。これを強調することは、まさにアメリカの戦後支配の否定につながる。

 前原 今回の靖国参拝で思い出したのは、昨年十一月、日米の安全保障に関するフォーラムでの出来事でした。リチャード・アーミテージ元国務副長官、カート・キャンベル前国務次官補、マイケル・グリーン元大統領特別補佐官など知日派がずらりと並ぶ前で、ある自民党議員が「安倍首相は靖国に行くと思いますよ」と言ったのです。アメリカ側はひっくり返りそうになって、「絶対に止めるべきだ」と口を揃えて言っていました。安倍首相を高く評価する彼らでさえ、そうした強い反応を示した。自民党内ではどういう議論がなされたのでしょうね。官房長官は反対したとされていますが。

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source : 文藝春秋 2014年03月号

genre : ニュース 政治 国際 中国 韓国・北朝鮮