三者懇談、臨時代行──。「新しい天皇像」とは
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宗教学者の山折哲雄氏が発表した「皇太子殿下、ご退位なさいませ」(「新潮45」三月号)が論議を呼んでいる。皇太子妃の療養が十年にも及ぶなか、皇室のあり方が皇太子家の重荷となっていると論じ、皇太子の「退位」(皇位継承権の放棄)を提言した“衝撃的な”内容だったからだ。
同論文で、山折氏は「皇太子ご一家のあり方にたいして、国民もメディアも(略)多少の不安とやや過剰な期待の目をむけている」と指摘し、「その眼差しがいつか、冷たい非寛容な視線へと転じていくかもしれない」との懸念を表明している。さらに「朝日新聞」(三月二十五日付朝刊)では、「宗教的権威と政治的権力の均衡」が崩れつつある、と強調し、天皇制について「法律論をはじめ、歴史、文化、宗教から総合的に考えること」を改めて主張している。
もとよりこの「退位論」は、皇室典範の改正なども含み、その実現性は低い。また、仮に皇太子が継承権を放棄するような事態が起きてしまったら、それは皇室にとって今以上に深刻な危機と苦悩を招くことになるだろう。
しかし、こうした「皇太子退位論」が提起され、社会的な関心を呼ぶ背景には、私たち国民の間に、現在の皇室、ことに皇太子のあり方をめぐって、ある「不安」が存在するからではないだろうか。
そのことは、山折氏が言うように、これからの皇室を、この国の社会、政治、宗教、文化、そして歴史の中に、いかに位置づけていくかという問題と密接に関わっているように思われる。
「両陛下ご一緒」の平成流
近年、皇室が抱えている最も深刻な「危機」とは何か。それは現天皇の体調問題であろう。
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source : 文藝春秋 2013年05月号