アイドル全盛期を駆け抜けた中森明菜(57)。彼女を「20世紀の日本に咲き誇った大輪のヴォーカリスト」と評する作詞家の売野雅勇氏が、『少女A』誕生秘話を明かす。

中森明菜さんがブレイクするきっかけとなった『少女A』というタイトルをたまたま思いつき、それまで書いたことのなかったアイドルの歌詞を書いたのが自分にとっても世に出る端緒となった。
そもそも彼女のセカンド・アルバムの曲を募るコンペティションに出したもので、50曲を超える作品が集まっただろう。競争率からすれば当然ながらあえなくボツとなった。
だが、その1週間後に「歌詞だけは生きています。メロディを変えてください」とディレクターからマネージャーに電話が。この1本の電話により、芹澤廣明さんが書いたあのメロディに生まれ変わったのだ。
僕と芹澤さんは全く無名の新人作詞家と作曲家だったので、アルバムに採用されただけでメデタシメデタシ。が、ひと月と経たないうちにシングル曲に決定した。
ヒットし始めると、みんなが「こんなのアリ?」って感じ始めたのか、作品が異様な相貌を帯びてきた様子が僕への取材の多さから感じられた。新人アイドルの歌詞ごときで取材されるなんて前例がなかった気がする。もちろん明菜さんの魅力があったからなんだけどね、すべては。

最後に、誰も知らない中森さんの本当の凄さをお話しします。
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source : 文藝春秋 2023年1月号