川端康成、小林秀雄、石原慎太郎、開高健、向田邦子、小松左京、村上春樹……。
菊池寛が作った「場」で文士は大胆に、正直に語った
「私は頼まれて物を云うことに飽いた。自分で、考えていることを、読者や編集者に気兼なしに、自由な心持で云って見たい。友人にも私と同感の人々が多いだろう。又、私が知っている若い人達には、物が云いたくて、ウヅウヅしている人が多い。一には、自分のため、一には他のため、この小雑誌を出すことにした」
「文藝春秋」を語るとき決まって引用されるのが、菊池寛の「創刊の辞」である。
文学を狭い世界から解き放ち、社会的な存在へと広げていきたい思いが短い言葉に率直に表れている。表紙に目次を刷り込んだ簡素な雑誌は、「新潮」などの文芸誌と比べて破格に安い、定価10銭に設定された。
「創刊の辞」のすぐ下、同じ1ページ目に掲載されたのが、友人芥川龍之介の「侏儒の言葉」である。
「道徳は常に古着である」「一国民の九割強は一生良心を持たぬものである」「正義は武器に似たものである」「人生は落丁の多い書物に似ている」「あらゆる神の属性中、最も神の為に同情するのは神には自殺の出来ないことである」
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source : 文藝春秋 2023年1月号