2021年の9月1日に発足したデジタル庁(以下、デジ庁)。1年以上の年月が経ったものの、いまだ庁内はカオスの状態がつづく。
「スタート時から庁内の連絡にメールやSNSではなくペーパーが多用されたり、業務パソコンでZoom、Slack、Google Driveが使えなかったりと、惨憺たる状態でした。業務環境こそ整備されましたが、問題山積の状況に変わりはありません」(職員)
たとえばデジ庁の柱の一つである「マイナンバーカードの普及」。
12桁の個人番号が記され、ICチップが内蔵されたマイナンバーカードは、身分証明書として利用できるだけでなく、コンビニで住民票の発行を受けられるなどの利便性が高まると喧伝されている。
河野太郎デジタル大臣は、現行の健康保険証を24年秋に廃止した上で、マイナンバーカードに一体化した「マイナ保険証」に移行。さらにマイナンバーカードに運転免許証機能を持たせる計画の前倒しまで打ち出している。
「マイナカード普及の為にポイント付与など試行錯誤をしてきたが、より強硬に進めるために出てきたのがマイナ保険証案です。デジ庁でマイナンバー普及を推進するのは財務省出身の向井治紀参与と、国税庁出身の淺岡孝充参事官といった“マイナンバーマフィア”と呼ばれる人たち。向井さんはマイナンバーに10年以上取り組んできたベテランですが、NTT接待などで問題を指摘されたこともある」(全国紙記者)
前述した河野大臣が掲げる保険証一体化の前倒しには、数百億円レベルの追加出費がかかると言われる。
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source : 文藝春秋 2023年2月号