中高年がセックスを楽しむための7か条

医療と教育を再生する

今井 伸 聖隷浜松病院リプロダクションセンター長・総合性治療科部長
ライフ ヘルス
今井伸医師 Ⓒ文藝春秋

 人間の三大欲求は、食欲、睡眠欲と性欲です。三大欲求を満たして生活することは、幸せな生活の第一歩でもあります。そして、どの欲求にどのくらい重きを置き、どの程度満たすと幸せなのかは人それぞれです。食欲にしても睡眠欲にしても、老若男女で千差万別、十人十色だということはなんとなくおわかりいただけると思います。

 では、性欲に関してはどうでしょうか。「高齢者のセックス」というと、「高齢者がセックスをするなんて気持ち悪い」とか、なんとなく否定的な見解をお持ちの人が多いのではないでしょうか。

 話が少し横道にそれますが、僕は普段の生活や診療の中で、実年齢より10〜20も若く見える方が、以前よりずっと多くなったと感じています。「若く見える方が増えている」=「健康に歳を重ねている方が増えている」ということも言えます。健康に歳を重ねている方は、その身体機能も維持されます。

 性機能に関して言えば、血管系や神経系がある程度健全に維持されていれば、男性は70〜80歳代になっても勃起や射精も維持されます。勃起や射精が維持されていれば、性生活を維持したいと思うこともまた自然なことです。

 一方、「若者は性的に活発である」という印象をお持ちの方が多いと思いますが、近年、草食系男子の増加が問題視されるようになっています。性欲にどのくらい重きを置き、どの程度満たすと幸せなのかは、老若男女で千差万別、十人十色なのです。

 このように、個人個人の性生活、性のあり方は、老若男女関係なく多様です。そして、どのような性生活を送るかということは自分自身の生活の質(QOL:Quality of life)に少なからず影響を及ぼします。セックスは、若者の専売特許ではありません。そこで、僕がこれまでの診察を通して得た知識から、中年以降のセックスを楽しむためのコツを列挙してみたいと思います。

海辺を歩く高齢カップル Ⓒhemis.fr/時事通信フォト

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source : 文藝春秋 2023年2月号

genre : ライフ ヘルス