いつもご愛読いただき、誠にありがとうございます。
早速ですが、本日1月14日19時から放送予定の「文藝春秋 電子版」のオンライン番組「令和の『富国強兵』をマジメに論じる」の紹介をさせてください。登壇者は元総理大臣の野田佳彦さん、批評家の先崎彰容さん、そして私です。
発売中の「文藝春秋」2月特大号に先崎さんに寄稿していただいた「新・富国強兵論」をベースに、この令和の時代にいかにして国を守るのか、について真正面から議論します。
私が先崎さんの論考の中で思わず膝を打ったのは例えばこんなくだりです。
〈戦後一貫して高度経済成長を目指してきたわが国は、生者の論理で構築された社会であった。(中略)しかし今、私たちは「死者の論理」を直視する段階にきている。なぜなら強兵とは、畢竟、死を考えることだからだ。(中略)今後、わが国が戦闘行為で死者が出た場合、どこに祀り、どう慰霊するのかを念頭に置くべきだということである。〉
先崎さんは続けて、〈死生観について一家言もなき政治家に、自衛隊も国民も命を預けることなど、はたしてできるのだろうか〉と根源的な問いを投げかけています。
防衛費2%をめぐり、勇ましい議論が飛び交う昨今ですが、自衛隊はこれまで一人の戦死者も出していないわけで、今こそ「死者の論理」についても真剣に考えるべきではないか。
もう一人の登壇者である野田さんのお父さんは元自衛官です。安倍晋三元総理の追悼演説で注目を集めましたが、筋金入りの保守政治家と評されることも多く、私もそう思います。先崎さんはある酒席で野田さんと一緒になり、自衛隊や富国強兵の話も含めてすっかり意気投合したことがあるそうです。
実は野田さんと私にも深いご縁があります。野田さんが民主党の国対委員長時代、「週刊文春」デスクだった私は、田中真紀子外務大臣の秘書給与疑惑や、福田康夫官房長官の年金未納問題などで“共闘”したことがあるのです。
そこで昨年末、四谷荒木町で一緒にあんこう鍋をつつきながら、オンライン番組への出演を打診したところ、ご快諾いただいたというわけです。
「文藝春秋 電子版」のオンライン番組のモットーは「生で本音」ですが、今夜の議論が白熱したものになるのは上記の経緯もあり、間違いありません。ぜひ事前に先崎さんの20ページにわたる論考をお読みいただいた上で、電子版会員の方は質問もできますので、積極的に議論に参加してください。
昨年12月にローンチした「文藝春秋 電子版」では、オンライン番組の反響もあって会員が急増しています。この場を借りて、心より御礼申し上げます。
文藝春秋編集長 新谷学
source : 文藝春秋 電子版オリジナル