低迷する自給率、対米従属の安全基準──このままでは国民が飢え死にする!
今、すさまじい勢いで食料品が値上がりしている。たとえば「物価の優等生」と呼ばれた鶏卵は過去数年間、キロ120円〜170円で推移してきた。ところが昨年末から急上昇し、今年2月には335円と過去最高値をマークしている。小麦や肉類、乳製品なども軒並み値上がりし、ため息をついている読者の方も多いだろう。
だが、食料品の高騰は一時的な現象ではない。今、世界の食料は「クワトロ・ショック」と筆者が呼ぶ4つの危機に見舞われているのだ。それは以下の通りである。
(1)コロナ禍による物流の停滞。
(2)中国による食料の「爆買い」。
(3)異常気象による世界的な不作。
(4)ウクライナ戦争の勃発。
詳しくは後述するが、これらによる打撃を最も受けると予想されているのが、日本なのである。
なぜなら日本は先進国の中でもとりわけ食料自給率が低い国だからである。日本の自給率は戦後一貫して低下し、カロリーベースで38%しかない。品目別に重量ベースで見ても主食のコメは98%、鶏卵は97%あるが、大豆は7%、小麦は17%、牛肉は38%と、非常に低い自給率となっている。
しかもこれらの自給率は、いわば「ゲタを履いた」数字である。なぜなら農業に欠かせない肥料や、畜産飼料用の穀物(トウモロコシなど)の大部分を海外からの輸入に頼っているためだ。もし肥料や飼料を輸入できなくなったら、日本人は深刻な飢餓に見舞われてしまう。
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source : 文藝春秋 2023年4月号