セブン&アイの創業家巻き込む神経戦、野村の人材流出、みずほ2つの発火点、キヤノン長期政権に「NO」

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★創業家巻き込む神経戦

 傘下のセブン-イレブンが今年50周年を迎えるセブン&アイ・ホールディングス(井阪隆一社長)がアクティビストの攻勢に苦慮している。3月下旬、井阪社長ら現経営陣4人を事実上解任とする役員選任の株主提案を突き付けられた。

 強硬姿勢に出たのは、米ファンドのバリューアクト・キャピタル。マイクロソフトへの投資で知られ、日本には5年ほど前に上陸した。株主還元を一方的に迫らず、投資先企業との長期的な対話を志向しており、日本では不正会計問題で痛手を負ったオリンパス(シュテファン・カウフマン社長)への投資が代表例だ。

 バリューアクトがセブン&アイの大株主となったのは一昨年のこと。まず経営改革案として収益の柱であるコンビニ事業への集中を要求した。そこで焦点となったのが鈴木敏文前会長(現名誉顧問)の時代に進めた多角化事業の見直しである。井阪社長ら現経営陣はこれを受け入れ、昨年11月に百貨店子会社そごう・西武の売却を決定。

 次に求められたのが祖業である総合スーパー、イトーヨーカ堂の早期分離だった。現経営陣は、食分野でコンビニ事業と連携できるとの考えも強く、今年3月に出した答えは、14店舗を追加閉鎖する縮小均衡策だった。税制面の特典を活用し、全面的な事業分離を主張するバリューアクトにとって、いかにも中途半端な策に映った。その結果、経営陣の解任案を突きつけたわけである。

 ここで注目すべきは役員選任案の中身だ。代表権を持つ取締役3人のうち伊藤順朗専務だけ解任要求の対象外なのだ。今年65歳になる順朗氏は、3月に死去した創業者・伊藤雅俊氏の次男。02年に当時専務の長男・裕久氏が突如辞任した後も会社に残り、目立った活躍があるわけではないが、昇進を重ねてきた。

 伊藤一族は今も約1割を握る大株主で、バリューアクトが創業家を取り込みにかかっているといわれる。5月25日の株主総会まで神経戦が続く。

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source : 文藝春秋 2023年6月号

genre : ビジネス 経済 企業