《JOHN AND YOKO HAVE COME BACK TOGETHER AGAIN LOVE》(ジョンとヨーコは再び一緒の生活に戻りました)
1975年の2月14日、ニューヨークのダコタ・ハウスで暮らすオノ・ヨーコさんから届いた電報です。この直前まで2人は別居していました。最後の「LOVE」は単にあいさつの意味でしょうが、喜びが伝わってくるようでした。
それからさかのぼること8年。66年11月9日、ロンドンのインディカ・ギャラリーで、2人は運命的な出会いをしています。当時、ジョンには妻シンシアの存在が、ヨーコさんも別居中とはいえ、映画監督のアンソニー・コックスと婚姻関係にあり、いわばW不倫でした。
互いにヒッピー的な生き方をしており性に開放的な印象があるかもしれませんが、プラトニックな関係が長く、ふたりが初めて結ばれたのは、出会いから約1年半が経過した頃のこと。共作したアルバム『トゥー・ヴァージンズ』のレコーディングがすべて終わった日の翌朝だといいます。
同作のジャケットを飾ったのは、ふたりの全裸写真。ヨーコさんは黒い乳首を晒し、ジョンの肉体も筋骨隆々とはほど遠い。貧相な体を恥ずかしげもなく披露したことで、2人は世界中から猛批判を浴びましたが、彼らはただありのままの自分たちを見せたかっただけなのです。
自分達は特別な人間ではない、どこにでもいる普通の男と女が、ためらいながらも惹かれあい、抗いきれない恋に落ちた――。そうした2人の心境を率直に表現したのがアルバム『トゥー・ヴァージンズ』です。
69年にジョンとヨーコさんはジブラルタルで結婚式を挙げますが、4年後、ふたりは一度、別離を迎えてしまいます。きっかけはジョンの不貞行為でした。ある日、酔っ払ったジョンが、ヨーコさんがいる前で、女性ジャーナリストと共にトイレに籠もり、しばらく出てこなかった。セクシャルな行為があったのは明らかでした。ヨーコさんにすれば、人生のパートナーは神聖で、どんなに好きな相手でも容認できない行為だった。三下り半を突きつけられたジョンはロサンゼルスに居を移します。
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source : 文藝春秋 2023年7月号