「そう、あの時、出会わなければ、私は現在でも独身だった可能性があります」
秋篠宮さまが、今でもこう熱く振り返るように、紀子さまとの出会いは運命的なものだった。1985年5月、学習院大学法学部2年生の彼は、文学部に入学したばかりの紀子さまと大学構内の書店で初めて出会った。授業の合間、よく書店に立ち寄っていたが、この日も店の事務室にいた。そこで、「こちらが川嶋先生のお嬢さんですよ」と、店主が紀子さまを紹介した(1989年9月12日、朝日新聞夕刊)。
紀子さまの父親は川嶋辰彦学習院大学名誉教授(故人)で、秋篠宮さまや上皇ご夫妻と面識があったこともその後の交際に好影響を与えた。
「学生時代に結婚相手を見つけないと、結婚は難しいですよ」
秋篠宮さまは、こう私に打ち明けたことがある。大学時代であれば、キャンパスに女子学生がたくさんいて自然な形で出会い、会話ができ交際に発展する。しかし、卒業後は、マスコミや周囲に監視され、さりげなく異性と知り合う機会は少なくなり、結婚のチャンスは減ってしまう。だから、大学生の時に相手を見つけておかないと結婚はより難しくなると、彼は考えていたようだ。
紀子さまと出会ってすぐに、当時、家族で暮らしていた東宮御所に彼女を招き、自分の両親に紹介した。その後も彼女は東宮御所を訪問し、上皇さまや上皇后さまとテニスを楽しんだり、お茶の席を共にすることも珍しくなかった。上皇ご夫妻は、「キコちゃん」と親しく呼び、とてもかわいがった。彼女は、秋篠宮さまが小学校時代の友人たちを中心として始めた大学のサークルである自然文化研究会に入会した。学習院大学をはじめ10校近い大学の学生たちで構成されていて、2人は和歌山県田辺市龍神村や長野県南木曽町など各地を仲間と一緒に訪れ、徐々に愛を育んだ。
1986年6月、学習院大学近くの交差点で秋篠宮さまは、紀子さまにプロポーズした。初めて出会ってから1年余のことだった。
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source : 文藝春秋 2023年7月号