「この1年、政界や社会状況を見るたびに、安倍総理が亡くなったことは日本にとって大きな損失だと痛感します。私個人としても、安倍総理の生前の姿や言葉が頭から離れなくなり、今後もこの深い悲しみから解き放たれることはないと思います」
そう語るのは、元NHK解説主幹で政治外交ジャーナリストの岩田明子さん。安倍晋三元総理が、銃撃事件で非業の死を遂げてから7月8日で一周忌を迎えた。岩田さん初の著書となる『安倍晋三実録』には、“最も食い込んだ”記者として20年以上にわたる取材の成果をふんだんに盛り込んでいる。
例えば、事件前日の夜、岩田さんは安倍総理と電話で話している。偶然にも統一教会の話題になり「私自身は、さほど関与していないから……」と答える安倍総理の声は、今も耳から離れないという。3年前の夏、持病の潰瘍性大腸炎が再発した際、安倍総理は「なかなか眠れなくて困る」「検査に行ってきたが症状が悪かった」などと、退陣に至るまで毎日のように岩田さんに病状を伝えていた。他では見せることのない、知られざる総理の本音と、数々の新事実に読者は驚くはずだ。
「今年2月に発売された『安倍晋三 回顧録』は、安倍さんが記憶を辿って話し、本人が生き返ったかのような喋り口調で書かれていたのが印象的でした。ただ、政治家ならではのサービストークも含まれ、インタビューも36時間と限られていた。一方、私の『安倍晋三実録』は、官房副長官時代、幹事長時代、総理時代と、20年以上、密着してきた中で、その時々の安倍さんの発言を描き出しているので、決して美談だけに彩られていない。加えて、永田町や霞が関での取材成果をもとに、第三者として私なりの分析や考察も施しています」
森友事件や桜を見る会問題など政権を揺るがした問題も取り上げており、岩田さんは「感情論に流されず、ファクトを提示したかった」と語る。
また、安倍総理の外遊先に幾度となく同行しており、白熱する首脳会談の舞台裏も詳らかにしている。
「安倍総理に対して『金正恩は狂っているのか?』と頻りに質問するトランプや、『日本のコメは品質が良い』と素直に褒める習近平など、首脳たちの意外な側面も描いているので、歴史的な資料としての価値もあるかと。将来的には『世界のリーダー論』を書きたいですね」
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source : 文藝春秋 2023年8月号