人への好奇心だけでここまで生きてきた

　本番前の田原総一朗（89）は物静かだ。36年にわたり司会を務める深夜討論番組「朝まで生テレビ！」（テレビ朝日）のため、テレビ局に入るのは日付が変わる頃。打ち合わせ中はほとんど存在感がないが、放送が始まった途端、目つきと声音が変わる。

「生放送は一発勝負の緊張感があるから面白いよね。失言しても編集できない（笑）」

　活躍の場はテレビだけに留まらない。手帳を見せてもらうと、雑誌の対談、イベントの打ち合わせ、講演会などの予定でびっしり埋まっている。

「人に会って話を聞くのが一番面白いよね。右でも左でも、どんな立場の人でも実際に話を聞いてみると、それなりに理屈が通っていて感心してしまいます。僕は娯楽には一切興味がないんですよ。麻雀もしないし、酒も飲まない。言ってしまえば、仕事だけが趣味の人間。人への好奇心があるから、ここまで生きてこられたようなものです」

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