長男・眞秀の初舞台。毎日が息苦しく、生きた心地がしなかった
今年の「團菊祭五月大歌舞伎」で、長男が初代尾上眞秀(おのえまほろ)として初舞台を踏みました。
初日が開(あ)くまでは、どうしていいかわからないほどドキドキして、生きた心地がしませんでした。
初日の舞台を観ながら、夫(フランス人のアートディレクター、ローラン・グナシア氏)の手をずっと握っていました。思わず力が入っていたようで、あとで見たらローランの手に爪の跡がついていたくらい(笑)。でもローランも痛みを全然感じなかったそうで、それくらい彼も必死で観ていたんだと思います。終わったあとは、もう放心状態でした。
この演目は眞秀のために書いていただいた『音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)』です。脚本は今井豊茂さん、演出は私の父・七代目尾上菊五郎が手掛け、舞台でも共演するという趣向です。講談や歌舞伎の題材となってきた豪傑・岩見重太郎の狒々(ひひ)退治の伝説をもとに、10歳の眞秀は女方と、男性の役である立役を務めました。
ご存じのかたもいらっしゃると思いますが、歌舞伎のお稽古は非常に短くて、全員揃ってできるのは、その月の歌舞伎興行が終わったあとの3、4日だけ。今回も同じでした。
もちろんそれまでに眞秀も準備をしましたが、実際に出演する役者全員が集まると、ガラリと雰囲気や状況が変わるんですよね。そうなったとき、主役である彼がどこまで順応できるのか。
有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。
記事もオンライン番組もすべて見放題
今だけ年額プラン50%OFF!
月額プラン
初回登録は初月300円・1ヶ月更新
1,200円/月
初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。
オススメ! 期間限定
年額プラン
10,800円一括払い・1年更新
450円/月
定価10,800円のところ、
2025/1/6㊊正午まで初年度5,400円
1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き
有料会員になると…
日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!
- 最新記事が発売前に読める
- 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
- 編集長による記事解説ニュースレターを配信
- 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
- 電子版オリジナル記事が読める
source : 文藝春秋 2023年11月号