“王道”を行かない。オタク半生を振り返る
(1)細部にこだわる「オタク」であり続ける
私は元々、研究者というよりは「軍事オタク」なので、特に誰から言われるでもなく、放っておけば一日中軍事のことを考えている人間です。
2000年代に大学生だったので、時間がありあまっている若い軍事オタク時代と、インターネットの普及が重なり合ったんですね。ネットを使えば気軽にマニアックな軍事情報にもアクセスできるようになった最初の世代で、最終的に「職業軍事オタク」みたいなことになってしまった。
ですから、まさか多くの人が見ているテレビの報道番組に出ることが増えるとは思ってもいませんでした。特に、ウクライナ戦争が始まってからはマニアックな軍事の話だけでなく、ロシアのクレムリン(中央政府)やプーチンのことなど、国際政治やロシア社会といった大局について発言する機会も増えました。
そういうときに自分で気をつけているのは、逆説的ですが、オタクだからこそ、ちゃんと“細かいことが分かる”ようにしておくということです。
そもそも世の中には優れたロシア研究者がたくさんいるわけです。本来、ロシアの話をしてもらうならそういう人たちにしてもらったほうがいい。
それでも私みたいな人間が人前で何かしらロシアの話をさせてもらえるとするなら、それなりの「お買い得感」みたいなものが求められると思っています。それが、私のいう“細かいこと”です。ロシア軍に現在、何個軍管区があって、兵力は何万人で、戦闘機の「ミグ」を何機持っているかといった細かい知識です。あるいは、北方領土のロシア軍は今どんな動きをしている、新しくカムチャツカに新型原子力潜水艦が配備されたといった情報をすぐに把握していくことですね。
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source : 文藝春秋 2024年1月号