『遺伝と平等 人生の成り行きは変えられる』キャスリン・ペイジ・ハーデン著、青木薫訳／新潮社
『善と悪の生物学 何がヒトを動かしているのか』ロバート・M・サポルスキー著、大田直子訳／NHK出版
『パレスチナ 特別増補版』ジョー・サッコ著、小野耕世訳／いそっぷ社
ヒトのゲノム（遺伝情報）を高速かつ安価に解析するGWAS（ゲノムワイド関連解析）という驚異的なテクノロジーが遺伝学を席巻している。これによって一人ひとりの遺伝的な傾向をポリジェニックスコアとして得点化し、表現型との相関を調べることで、子どもが生まれた時点で、あるいは受精卵の段階で、将来、どのような人生を歩む可能性があるかがわかるようになった。表現型には、身体的・精神的な病気・障害や学力・知能、性格だけでなく、刑務所に入る確率まで含まれる。『遺伝と平等』は、この驚くべき事態をどのように受け止めるべきかを、リベラルな立場から論じた。本書の議論が今後20年、あるいは10年で社会を大きく変えていくだろう。
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source : 文藝春秋 2024年1月号
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