一日だけの暴飲暴食

名画が語る西洋史 第138回

中野 京子 作家・ドイツ文学者
エンタメ アート

一枚の名画をのぞき込んでみると……

 

✓見えてきたのは「使い慣れないフォーク」

ヨーロッパでフォークが使われるようになったのは15世紀のイタリアからという。フランスはさらに遅く、メディチ家のカトリーヌがアンリ2世に嫁いだ際に持参して広めたとされている。つまりそれまでは宮廷でも使うのはナイフのみ。切り分けたあとは手でむしゃむしゃ。フィンガーボウルとナプキンが必須なのも納得ですね。この絵のおかしなフォークの持ち方は、ふだん使っていない証拠だろう。

 


 

一日だけの暴飲暴食

『豆の王様の饗宴』

1640-1645年頃、油彩、242×300cm、ウィーン美術史美術館 写真提供 alamy/amanaimages

 1月6日は多くのキリスト教国が公現祭を祝う。これは東方三博士に関係した行事だ。つまりイエス生誕を知った三博士が星に導かれ、ベツレヘムの厩へ祝福に訪れたのがこの日とされているのだ。

 一説によれば、このとき博士のひとりが母乳を飲むイエスを見て思わず「王は飲む」と言葉を発した由。そこから庶民の盛大な暴飲暴食祭である「豆王の祝宴」も生まれたのだから面白い。

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source : 文藝春秋 2024年2月号

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