小さな大物 最終回

ドストエフスキーの新訳が大ベストセラーとなったロシア文学者は?

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ドストエフスキーの新訳が大ベストセラーとなったロシア文学者は?

 

 父を驚かせたいと、14歳の夏に『罪と罰』を手に取った。

「若くして校長や教育長を歴任した父は、部下の不正の廉で退職し一介の教員に。挫折感からか、障害のある長男に辛く当たるその人を、いつしか憎むようになった。暗い家庭から出口を探すように、文学や音楽にのめり込んだ少年時代でした」

 宇都宮で6人きょうだいの末子として出生。学習塾と下宿を営み、兄や姉を世話する母の背を見て育つ。

「ものすごいマザコンでした。母には『将来、芥川賞をもらうからね』なんて、言っていましたね」

 栃木県屈指の進学校、宇都宮高校から東京外国語大学に進学し、ロシア語を専攻する。

「高校時代は挫折の連続でした。独学していた英語以外、特に生物は落第点。授業も聞かず詩や小説を書き耽り、大学受験では苦労した」

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source : 文藝春秋 2024年6月号

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