昭和27(1952)年発売の「お茶づけ海苔」をはじめ、数々のヒット商品を世に出した永谷園創業者の永谷嘉男(1923〜2005)。長男で永谷園ホールディングス会長の永谷栄一郎氏は、父と料理した日々が大切な思い出だと語る。
父は、誰よりも食を愛し、生涯新商品開発に情熱を燃やし続けた人でした。朝、父の部屋をのぞくと小さいメモ帳にぎっしりと新しいアイデアが書き込んであり、それを楽しそうに私に説明するのです。
「どうだ、面白いだろ!」
時にはついていけないようなすごいアイデアもありましたが、そこから多くの新商品が生まれ、多くのヒット商品が生まれました。
永谷園の創業の品である「お茶づけ海苔」をはじめ、「松茸の味お吸いもの」(1964)、「あさげ」(1974)、「麻婆春雨」(1981)、「煮込みラーメン」(1993)など、父は食の世界に次々と新たな市場を切り拓いていきました。
長い闘病の末に父が亡くなったときは、悲しさよりも「もう父と仕事ができないのは、なんてつまらないんだろう」という感情が強く湧き上がりました。それぐらい、父と仕事をともにした二十数年間は、私にとって刺激に満ちた日々でした。
家庭での父はとにかく料理好きでした。贅沢な料理を作るわけではなく、おいしさにこだわって様々な工夫を加えるのです。子供の頃、父と一緒に料理をした楽しい思い出の数々が、今でも鮮やかに甦ります。
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source : 文藝春秋 2024年8月号