9月6日は、溝口健二監督の『山椒大夫』、黒澤明監督の『七人の侍』の2作品が、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞して、70年の節目にあたる。国内外の映画界に影響を与え続けた二大巨匠の“演出術”と、そのパーソナリティに迫った記事を紹介します。
101人の輝ける日本人
溝口健二 「カット! だめです」
浜村淳(パーソナリティー)
大学時代に名脚本家・依田義賢の映画学概論を受講していた浜村淳氏。依田に誘われて訪れた『近松物語』の撮影現場では、長谷川一夫への「演技指導」を行う溝口の姿が印象的であったことを語ります。
昭和100年の100人 激動と復活編
志村 喬 七人の侍の勇姿
前田吟(俳優)
黒澤組の常連だった“昭和の名優”志村喬。『男はつらいよ』で志村と親子を演じた前田吟氏は、黒澤の『野良犬』を見て以来志村氏のファンで、特に『七人の侍』は、心が折れそうになった時に必ず見返しているといいます。
昭和100年の100人 激動と復活編
「山田五十鈴 背筋をピンと」
村上弘明(俳優)
村上弘明氏は、ドラマ「必殺仕事人」などで女優・山田五十鈴と共演しました。山田の佇まいから、撮影に臨む覚悟と姿勢を強く感じた村上氏は改めてその人生を振り返り、重要な分岐点となった作品として溝口健二の『浪華悲歌』『祇園の姉妹』を、また戦後の代表作として黒澤明の『蜘蛛巣城』『用心棒』を挙げました。
『百花』黒澤明と増村保造の教え
原田美枝子(女優)
主演作『百花』の撮影で、川村元気監督の強い「粘り」を感じた原田美枝子さん。苦しい中でも、かつて徹底的な指導を受けた増村保造と黒澤明、また増村の師匠である溝口健二の「教え」が大きな助けになったことを振り返りました。
文藝春秋が報じた映画の肉声
石飛徳樹(朝日新聞編集委員)
「文藝春秋」の創刊から現在までの記事から、日本映画史を象徴するようなものを石飛氏がピックアップ。溝口・黒澤が登場する記事も多く、田中絹代が「女優50年」を振り返る記事の中でも、溝口の言葉が紹介されています。黒澤はハリウッド映画の企画が次々と頓挫した1970年に、日本映画への想いを本人が自ら語っています。
source : 文藝春秋 電子版オリジナル