「もう燃え尽きた」「相撲道」貫く元大関の引き際

第45回

NEW

エンタメ スポーツ
貴景勝 Ⓒ時事通信社

「小学校3年生から相撲を始め、ずっと横綱になることだけを夢見てやってきました。横綱を目指す体力と気力がなくなったので引退を決めました」

 元大関の貴景勝がきっぱりと言う。その傍らで伏し目がちの師匠――元隆三杉の常盤山親方が愛弟子を思いやった。

「度胸があって精神力も強かった。膝、足首、胸、最後は首をケガをして、大関になってからは特に満身創痍の体でした。月並みですが、『もうご苦労様』と」

 175センチの小さな体で突き押し相撲に徹し、大関の地位まで上り詰め、幕内優勝は4回。カド番だった名古屋場所で負け越して大関の地位から陥落、関脇として10勝すれば復帰できる特例があるものの、秋場所では初日から連敗して休場し、大関復帰は叶わなかった。元大関が平幕力士として土俵に上がり続ける例も珍しくない昨今、貴景勝は28歳の若さで潔く引退を決意したのだった。30代後半でいまなお活躍する力士もいる中、その若さを惜しむ声には、

「年齢で相撲を取っているわけではないですから。自分が目指すものに手をいっぱい伸ばしたんですけれど、届きませんでした。だから、ここが引き時だな、と」

 唇を震わせながら言葉をふり絞る。

「後悔はまったくないです。もう燃え尽きたので。素晴らしい相撲人生でした」

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

記事もオンライン番組もすべて見放題
初月300円で今すぐ新規登録!

初回登録は初月300円

月額プラン

1ヶ月更新

1,200円/月

初回登録は初月300円
※2カ月目以降は通常価格で自動更新となります。

年額プラン

10,800円一括払い・1年更新

900円/月

1年分一括のお支払いとなります。
※トートバッグ付き

電子版+雑誌プラン

12,000円一括払い・1年更新

1,000円/月

※1年分一括のお支払いとなります
※トートバッグ付き
雑誌プランについて詳しく見る

有料会員になると…

日本を代表する各界の著名人がホンネを語る
創刊100年の雑誌「文藝春秋」の全記事、全オンライン番組が見放題!

  • 最新記事が発売前に読める
  • 毎月10本配信のオンライン番組が視聴可能
  • 編集長による記事解説ニュースレターを配信
  • 過去10年6,000本以上の記事アーカイブが読み放題
  • 電子版オリジナル記事が読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 文藝春秋 2024年11月号

genre : エンタメ スポーツ