山田詠美さんのご自宅で“絶品のシラスのパイ”をご馳走になった

vol.74

電子版ORIGINAL

エンタメ 読書

 山田詠美さんの新連載「言霊のもちぐされ」が本誌11月号から始まりました。身の周りで起こった様々な出来事や、これまでの作家生活で体験した知られざるエピソード、世間で注目を集めている時事ネタなどについて、山田さん独自の視点で綴るエッセイです。

 

 編集長から担当するよう言われたのは今年3月。直木賞を受賞した『ソウル・ミュージック ラバーズ・オンリー』や、ネグレクトの末に幼いきょうだいが餓死した事件を基にした『つみびと』など、山田さんの作品にはいつも感銘を受けてきました。中でも、深田恭子さん主演でドラマ化された『A2Z』は、学生時代から何度読み返したか分かりません。

 ですから、最初の打ち合わせにうかがう日が近づいてくると、嬉しい気持ちよりも緊張の方が勝ってきました。ところが、実際にお会いした山田さんは、大変気さくで、「失礼なことを言わないように……」と口数少なめだった私にもどんどん話を振ってくださり、自然と緊張はほぐれていきました。

山田詠美氏 ©文藝春秋

 9月上旬、初回の原稿をご自宅にお受け取りにうかがった際にも、細やかな心遣いをしていただき、知らぬ間にすっかりリラックスしていました。

「今日は簡単なものしか作ってないけど……」
 
 山田さんはそう言って迎えてくれましたが、机に並んでいたのは豪華な手料理ばかり。なかでも絶品だったのが、シラスのパイです。「パイシートにシラスを詰めて焼いただけだよ」と言っていましたが、「初回の記念に」と出していただいたシャンパンにもマッチする味わいで、6個も食べてしまいました……。

シラスのパイ

 私が食事をしている間も、キッチンに立って次の料理の準備や後片付け。原稿を受け取りに行く仕事だったにもかかわらず、すっかり堪能して社に戻ったのでした。

 こうして読者にお届けすることになった初回の原稿では、自民党総裁選が取り上げられ、多くの人が抱いている「なんとなくの違和感」をズバッと抉る痛快な内容となっています。

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