「なかなか、無謀な企画ですねぇ」

　取材を始めた頃、とある教授に苦笑いされたことが思い出されます。

「早慶を看板教授で比較したら面白いんじゃないか」、そんな編集長の思いつきで始まった「看板教授の早慶戦」ですが、悪い予感は見事に的中。近年稀にみる苛酷な取材となりました。

　取材班は3人。全員が30代で、学生時代の記憶は遠のいています。

　取材期間はおよそ1カ月。総計30名を超える教授陣に取材に応じて頂きました。どなたも各分野を牽引する一流研究者ですから、下準備は徹底的に。お盆休みを返上し、寝る間も惜しんで著書を読み込み、過去のインタビューにも目を通します。先生方だけでなく、学生たちにも取材を敢行。ゼミや講義の魅力を聞き取りました。なかには、Tシャツ姿でオープンキャンパスを訪れ模擬授業に潜り込んだり、ゼミのオリエンテーションに参加しゼミ長に質問攻撃をしかける強者も……。本来、学生向けのイベントに小誌がお邪魔するのは申し訳ないことなのですが、取材熱心ゆえと見過ごして頂ければ嬉しいです。

　下準備だけでも気の遠くなるような作業でしたが、いざ先生方にお会いすると、目の醒めるようなアハ体験が待っていました。

「言語と身体とはどう関係するのか」、「政治を科学することは可能か」、「なぜ英語には主語が必要で、複数系にはsがつくのか」、「量子技術をすべての分野に応用したい」……第一線の研究者たちは、実は私たちの日常に密接に関わる現代的課題に取り組んでいます。その言葉も視点も、すべてが発見の連続なのでした。

「めちゃくちゃ大変なんすけど……、でもなんか今すごく楽しいですッ！！！」

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