日本ワインに新たなブームが到来。最近は北から南まで全国に醸造家が増え、ご当地ならではの美酒が誕生している。

山梨のグレイスワインのカーヴ。ファン垂涎の樽が静かに眠る
世界から注目を集めるワイナリー5代目を訪ねた|三澤彩奈(グレイスワイン)
1923年に創業したワイナリーの現場を、2008年に父から継ぎました。高温多湿の日本から高品質のワインは生まれない——。そういわれた時期もあります。しかし、私が学んだボルドーやオーストラリアの一部でも秋雨がありました。栽培法の研究が進むなか、丹精を尽くせばブドウは応えてくれます。
広大な畑で様々なブドウを育てるなかに「甲州」という品種があります。千年以上前に南コーカサスから日本に辿り着いたとか。樹勢が強く、気まぐれで毎年違う顔を見せる品種だから育てるのに苦労します。でも繊細な香りと穏やかな味わい、きりっとした酸味は唯一無二です。
最近は健康志向と相まって、世界的に低アルコールがスタイリッシュという傾向です。多くのワインのアルコール度数が13%なのに対し、甲州は11~12%。和食にも合うと評判です。私が甲州で造った白ワインは2014年世界最大のコンクール「デカンタ・ワールド・ワイン・アウォード」で日本初の金賞を授かりました。
その甲州に、今年はあえて重厚感を加えました。深みのある味わいを、ブドウ畑の土着酵母によって完成することができ、私自身、ワイン造りの奥深さに震えています。日本ワインの歴史はまだこれから。のびしろは、どこよりも大きいです。

シャルドネやメルロー、カベルネフランなど欧州の品種も植付ける
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