三島由紀夫が好んだ東京「かつ𠮷 水道橋店」の特選牛ロースステーキ定食

第20回

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250グラム3,500円。鉄板から煙が出るほど熱してから焼くことで、肉の旨味を効果的に閉じ込めている。サラダもついてヘルシーに

三島由紀夫 Ⓒ文藝春秋

 ひ弱な文学青年というコンプレックスを解消するため、ボディビルで肉体改造を進めていた三島由紀夫。後楽園でトレーニングに汗を流した後、見つけたのが「かつ𠮷」だった。

 店長の品川勝巳さんが語る。

「当時、このあたりで肉を食べられる店は限られていたでしょうから、三島さんはジムの帰りによく寄ってくださっていました。決まって牛ロースステーキ定食を注文されていました」

 もともとデミグラスソースをかけていたが、三島のたっての希望で醬油ベースのタレに変更。以来、店の定番となっている。

 川端康成も同店と縁があった。川端が自身の干支と、とんかつにちなんで揮毫した「亥」の字は複写され木彫りになって、店の奥の部屋に飾られている。

 三島はその部屋を好んで使っていたという。

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source : 文藝春秋 2025年1月号

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