「プロすみません!」ツアー37勝に貢献するスーパーキャディの原点

プロキャディはタフな仕事ですが、正直、ギャランティが高い職業とは言えません。選手から支払われる“基本給”は1試合(1週間)分で10万円程度。これには宿泊費や交通費も含まれます。だから安宿を探し、移動費も極力減らします。車中泊をするキャディもいます。選手が上位入賞すれば、キャディは賞金の5%程度のボーナスを頂けますが、予選落ちしてしまえば、それもゼロ。プロキャディの平均年収は300万円台です。フリーランスの契約なので、シーズン終盤には選手に「来年も何試合か担がせてください」と営業して回ります。
それでもなぜ続けるのか。それはたまらなく魅力的な仕事だからです。惚れ惚れするようなプロのスーパープレーを目の前で見て、ワクワクドキドキする。この感覚は何度味わっても最高なんです。
私にこの仕事の素晴らしさを教えてくれたのは、桑原克典プロでした。プロゴルファー志望だった私ですが、大学卒業後はキャディの道へ進みました。そしてご縁があって24歳のとき、桑原プロのバッグを担ぐことになったのです。
最初は酷いものでした。「風は? アゲンストかフォローか」と聞かれて、全く答えられず、「調べてないのか!」と怒られるような有り様。キャディには資格も研修もありません。スキルのすべては経験で養わなければならないのです。
取り返しのつかない大失敗もありました。1999年のアイフルカップ。2ホール目で気づいて青ざめました。
「プロすみません! 15本入ってます」
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