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「ガラスの仮面」がオペラに 原作者・美内すずえ「紅天女のラストまで書きましたから!」

美内すずえ(漫画家)――クローズアップ

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 1976年から連載が続く、少女漫画の不朽の名作「ガラスの仮面」。なんの取り柄もない普通の少女・北島マヤが、父は映画監督、母は大女優という芸能界のサラブレッド・姫川亜弓と切磋琢磨しながら女優として成長していく物語は、日本中の少女たちの心をつかんできた。マヤと亜弓は、幻の名作「紅天女」の主役を巡って熾烈な争いを繰り広げる。この作中劇がオペラとして上演されることになった。漫画がオペラになること自体が異例中の異例だという。原作者の美内すずえさんは、次のように語る。

美内すずえさん

「20年くらい前、大阪で『トゥーランドット』を観ていた時に、ふと『紅天女もオペラになったら面白いな』と思ったことがありました。後にお能になり、今回オペラになってとてもうれしいです。オペラは敷居が高くて難しいというイメージがありますが、外国語で歌わないので、字幕を見なくても理解できるようにしました。日本の伝統的な要素を取り入れた、これまでにないオペラです」

 二十数年前に書き上げたという台本を活かし、脚本と監修も務める。作曲を寺嶋民哉、総監督・郡愛子、演出・馬場紀雄、指揮・園田隆一郎が担当。また能「紅天女」のシテを務めた人間国宝・梅若実玄祥が特別演出振付として名を連ねる。原作さながら「黒沼組」と「小野寺組」の2チーム体制で、主演の紅天女(阿古夜)は小林沙羅×笠松はる、仏師・一真役は山本康寛×海道弘昭というWキャストだ。

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「主役のお二人は、とにかく歌がすばらしい。表現の仕方が全然違うので、『どっちがマヤで、どっちが亜弓なの?』って(笑)。原作を読んでいるお客様は満足して帰ってくれる作品にはなっていると思います。漫画ではまだ描いていない紅天女のラストまで書きましたから!」

みうちすずえ/1951年大阪府出身。16歳の時、「山の月と子だぬきと」でデビュー。「ガラスの仮面」は累計5000万部を超える。82年「妖鬼妃伝」で講談社漫画賞、95年「ガラスの仮面」で日本漫画家協会賞優秀賞受賞。

INFORMATION

オペラ『歌劇 紅天女』
1月11日~15日まで東京・Bunkamuraオーチャードホール
日本オペラ振興会チケットセンター
https://www.jof.or.jp​

「ガラスの仮面」がオペラに 原作者・美内すずえ「紅天女のラストまで書きましたから!」

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