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 18年12月30日から19年1月3日ごろ、心愛さんの両腕をつかんで引きずったり、両腕をひっぱり上げて離し、床に打ち付けたりし、心愛さんの顔に打撲や胸骨の骨折を負わせたとする虐待。勇一郎被告は「両腕を引きずったり、ひっぱり上げたりしたことは認めます。ですが、床に打ち付けて、顔面や胸部を圧迫・打撃していません。娘に顔面打撲や胸骨骨折を負わせたことは知りません」と大部分を否定した。

 心愛さんが死亡した原因とされる1月22~24日の虐待については、十分な食事や睡眠を与えず、冷水のシャワーをかけたとされるが、「飢餓状態にし、強度のストレス状態にすることを構わないと考えたことはありません。また、暖房のない浴室で、冷水のシャワーをかけたことなどはしていません」としたうえで、「罪については争いません」と主張した。

検察は「日常的、継続的に虐待を受けた末に死亡した」

 検察側の冒頭陳述で、検察官は勇一郎被告の認否についてこうまとめた。「被告は起訴事実を概ね認めるが、心愛ちゃんを虐待した事実はないと主張しているが、心愛ちゃんは日常的、継続的に虐待を受けた末に死亡した」と裁判員に説明した。

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栗原勇一郎被告

 一方、弁護側は勇一郎被告の発言を補強。まず17年11月の暴行については「していない」と主張。「長女(心愛さん)は寝相が悪く、寝ている間に被告人を叩いたり、蹴ったりすることがあった。被告人は布団の中に戻し、駄々をこね、泣きわめく長女をなだめていた」と説明し、アンケートについても「身に覚えがない」とした。

 心愛さんの死亡直前の19年1月24日夜には、おもらししてしまった心愛さんに自身で掃除させようとしたところ「激しく抵抗したので風呂場に連れていき、シャワーで2~3秒間、おでこと髪の毛の境に当てた」と述べ、検察側の「長時間、口や鼻にシャワーの冷水をかけた」とする主張を否定した。「落ち着いたので、シャワーを戻そうと後ろを向いたとき、長女がドンと音を立て倒れこんだ」と話し、直接手をかけていないとした。

 弁護人が被告の父親としての立場を擁護して、「被告は幸せな家庭を築きたかった。最悪の結果を招いてしまったことに、後悔の念をいだいている。長女を含め、家族を愛していました」と言うと、眼鏡をはずし、顔を真っ赤にしてタオルで涙をぬぐった。