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検査拡大こそが出口戦略の要

 多くの読者は、緊急事態宣言がいつ解除されるのか心配していることであろう。もちろん政府内でもその議論が行われているはずだ。しかし、今の日本の感染状況や8割の接触削減に遠い現状を見ると、5月6日の解除は到底無理であり、残念ながら、私が指摘してきたようにさらに強力なロックダウンが必要となるかもしれない。一方、先にロックダウンを実施した欧米諸国では、多くの国で第1波の感染ピークを越え、解除に向けた具体的議論が盛んになっており、一部の国で解除を始めている。その主なやり方は、少しずつ解除しながら社会的距離を保ちつつ、解除対象を広げていくことである。

 新型コロナウイルスは、米国CDCのレッドフィールド所長がこの冬の第2波がより厳しいものとなる可能性を警告しているように、一旦おさまったように見えても、第2波、第3波が繰り返し押し寄せ、少なくとも数年にわたる戦いになることを覚悟する必要がある。つまり、一旦おさまっても感染の状況を常に警戒し、感染が広がり始めたら再度ロックダウンをするという、ロックダウンの繰り返し戦略が必要となる可能性が高い。

写真はイメージ ©︎iStock.com

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 今は試行錯誤であるが、今後は疫学データ(感染者数など)、医療のキャパ、そして、感染のモニタリング(リアルタイムの感染性や抗体保有率)などの定量的なデータに基づき、その判断は進められるであろう。また、抗体を持つ人から優先的に社会活動に復帰するという考え方もある。

写真はイメージ ©︎iStock.com

 だが、ロックダウンの繰り返しは大きな社会経済的コストをもたらし、多くの国民にとって厳しい状態が続くことになる。できる限りロックダウンの繰り返しを避け、コロナを終息させることはできないのであろうか。ワクチンがない場合は全人口の70%が自然感染しないと終息はしないと言われている。しかし、繰り返しのロックダウンなしにこれを達成することは極めて困難だ。なぜならば、感染をコントロールできなくなれば、急激な感染者の増加によって多くの犠牲者が出るとともに、医療崩壊は何度でも起こりうるからだ。

「週に1度、国民全員にPCRを行う」英国の専門家たちが提案

 コロナ対策については、私が居住する英国をはじめとする欧米各国、WHO等の専門家は、様々な失敗も経験しつつ、試行錯誤の中で次のステップを探求している。そんな中で、ロックダウンの繰り返しを避けるためのヒントとなる試みが英国で提案されている。

 最近、筆者の友人の公衆衛生の専門家30名以上が連名で英国の政治家、医務技監、主席科学顧問宛てに送った書簡が大きな物議を醸している。それは、「1週間に1度、国民全員に定期的にPCR検査を行う」という提案だからだ。大部分の読者は「そんなの無理だろう」と思うであろう。当然、今すぐの実施は不可能で大きなハードルがいくつも存在するが、公衆衛生的観点からは極めて重要な意味を持つものであり、筆者もその方向性には大いに賛成している。