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代表理事や評議員に事情を聞いてみると……

 いったい、この8人はどういう経緯で就任したのか。

 内堀氏は、昨年6月ごろに広河氏から「話したいことがある」と言われて1対1で会い、代表理事を引き受けてほしいと頼まれたと話す。

「フォトジャーナリズムが下降している中で、何とか上向きにしたいという思いで引き受けました。広河さんの(性暴力の)問題は知っていたし、認められないことだと思う。ただ、それとは切り離してやっていけばいいと思っています。DAYSの国際大賞は大変なので別のものになるかもしれませんが、いずれフォトジャーナリズムの賞をやり、セミナーも開きたいと思っています」(内堀氏)

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 内堀氏によると、写真家の田沼、松本、桑原の3氏は内堀氏が役員就任を依頼した。その他の4氏については、「広河さんから紹介を受けて、私がお願いしました」と述べた。

 田沼氏に尋ねると、内堀氏から依頼を受けて引き受けたと説明。「衰退に瀕しているフォトジャーナリズムを何とか盛り返そうという考えでやっています。若いフォトジャーナリストを育てていこうと思ってやっているんです」と話した。

 さらに田沼氏は、広河氏が団体を設立した経緯も同氏の性暴力問題についても知っているとしたうえで、「(団体は)いまは広河さんとは一切関係ありません。彼個人の問題とジャーナリズムの問題とは一緒にしないでほしい」と強調した。

ウクライナ政府から「有功勲章」を授与される広河氏(2011年) ©共同通信社

活動理念は広河氏の“魂”を継承

 内堀氏と田沼氏以外の6氏にも、就任の経緯と、団体に関わることへの思いを聞くため個別に質問を送った。しかしどういうわけか、内堀氏から「まとめて回答します」と連絡があった。

 その回答によると、各氏の就任経緯は「相互に声をかけ合って集まりました」。団体の存続は広河氏の人権侵害を軽視し、被害者の傷を深めるとの見方については、「広河氏のDAYS JAPAN の事業(国際フォトジャーナリズム大賞など)を引き継ぐ意思も計画もありません」と述べた。

 内堀氏は、広河氏が「現在の協会の運営に関与したり、影響を与えたりする余地は全くありません」と言う。だが、少なくとも外形的には、広河氏とのつながりは残ったままだ。

 役員全員が“広河人脈”なのは見てきたとおり。財団法人には「基本財産」という事業資金があるが、内堀氏によると「日本フォトジャーナリズム協会」は基本財産500万円のうち、半分を広河氏が拠出している(内堀氏は残り半分の出資者を明かすのを拒んだ。同協会は「知る権利」の擁護を掲げている)。

 法人登記に記載している同協会の「目的」も、広河氏が設立時に掲げたものから一字一句変わっていない。昨年6月に役員が入れ替わったとき、事業内容はわずかに変更した(「報道と救援の協力を実践、支援する事業」を追加)。しかし、団体の“魂”ともいうべき活動理念は、広河氏が考え出したものを完全に継承しているのだ。

 財団法人は設立者の理念に基づいて活動する団体だ。それなのに、設立者(広河氏)とは無関係だと強調してまで「日本フォトジャーナリズム協会」を存続させる理由は何なのか。

 内堀氏に尋ねると、「広河さんから頼まれたとき、引き受けないことはあまり考えなかったんですよね」という答えが返って来た。