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“性暴力”広河隆一氏が設立した“人権団体” 大物写真家たちはなぜ守ろうとするのか

2020/04/28

genre : ニュース, 社会

「被害の実態を無視しないで」

 同じ報告書は、広河氏が「性交の強要」「性的身体的接触」「裸の写真の撮影」「セクハラ」「パワハラ」を重ねていたと認定した。

 これを踏まえ、複数の被害者は「デイズジャパン」に損害賠償を請求。同社は今年3月、「残余財産を上回る金額の損害賠償請求」があったとして裁判所に破産手続きを申請した。6月に東京地裁で債権者集会が予定されている。

 こうして広河氏が設立した会社は、被害者に十分な損害賠償をしないまま消滅する見通しだ。

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 一方、広河氏本人は、批判を浴びる立場に置かれたことに納得いかないままのようだ。検証委の調査には、「魅かれあった男女の自由な関係である」「自分は文春の商業主義的、もしくはMeToo運動にのった時代の犠牲者である」などと主張したという。

レバノンを取材する広河氏(2014年) ©共同通信社

 加害の現実を受け止めず、ましてや賠償の意向はまったく見せていない広河氏。彼の思いが込められた団体を、被害者の傷口に塩を塗ってまで継続させていくことに、どれほどの価値があるというのか。

「今のメンバーに法的な責任はないかもしれません。でも、被害者の声を全く顧みないということでいいのでしょうか」と、広河氏の性暴力を受けた女性は憤る。

「被害に遭った女性たちは誰一人、広河氏側から何の救済も補償もされていません。広河氏が資金を投じて設立した団体なのに『被害者の声は関係ない、自分たちは大事な活動をしている』というのであれば、ジャーナリズムという大義を振りかざして女性たちを黙らせてきた広河氏の態度と何ら変わりません。被害の実態を無視しないでください」

“性暴力”広河隆一氏が設立した“人権団体” 大物写真家たちはなぜ守ろうとするのか

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