被害女性は「声を上げても変わらないのか」と絶望
しかし、同協会は存続していた。広河氏の画策により昨年6月に役員らの総入れ替えを実施。写真界の重鎮や、広河氏と交流のあった社会的影響力のある人々など、以下の8人を迎えて新体制がつくられていた。
【評議員】
田沼武能・日本写真家協会常務(元会長)
松本徳彦・日本写真家協会副会長
新谷英治・関西大学教授
【理事】
内堀毅(タケシ)・日本写真家協会会員=代表理事
桑原史成・日本写真家協会会員
黒木英充・東京外国語大学教授
木村英昭・ワセダクロニクル編集幹事
【監事】
岡本達思・パレスチナの子どもの里親運動元代表理事
この状況に、広河氏の性暴力に遭った女性は怒りと悲しみを露わにする。
「私が告発の声をあげたのは、広河氏が許せないという理由だけではありません。今後同じ思いをする人がいなくなるように、そのために閉鎖的で権威主義的なジャーナリズムや写真界が変わっていくように、という思いを込めたつもりです。それなのに、そうした分野で影響力をもつ人たちが、広河氏によって設立された財団を無批判に引き継ぐなんて、『声をあげても変わらないのか』と絶望します」
“広河人脈”で役員を入れ替え存続
「日本フォトジャーナリズム協会」は新体制となったものの、“広河色”は明らかだ。
代表理事で写真家の内堀毅氏は広河氏と旧知の仲だ。評議員の田沼武能氏と松本徳彦氏はともに「DAYS JAPAN」賛同人になっており、同誌に寄稿したこともあった。
理事の桑原史成氏もやはり「DAYS JAPAN」賛同人だ。寄稿歴もあるうえ、同誌フォトジャーナリスト講座の講師も務めていた。
評議員の新谷英治氏は、広河氏が世話人を務めた「ヨウ素剤の事前配布を求める会」の賛同人や、広河氏の写真展の後援者に名を連ねていた。理事の黒木英充氏は「DAYS JAPAN」に寄稿歴があり、広河氏の映画上映と講演の集会でコメンテーターを務めたこともあった。
もう1人の理事の木村英昭氏は、朝日新聞記者だったときに福島第一原発事故関連の報道で「早稲田ジャーナリズム大賞」奨励賞を共同受賞。そのときの選考委員の1人が広河氏だった。監事の岡本達思氏は、広河氏が設立した「パレスチナの子どもの里親運動」の代表理事だった。