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「どんなパパも“ポンコツ化”する」なぜ日本の子育て世代はこんなにも大変なのか?

『出産前の友だちよりも心配な友だちの夫に贈る100の言葉』#1

2020/07/09
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理由(1) 子育て世代の男性の多くは専業主婦に育てられているから

 第1子出産までに退職する女性は、1985〜89年で70%以上、2000年代を通じても60%台の後半(注1)。働く、といってもパートの割合が多く家事・育児は母親が担っていて、男性はまだ日々の生活がどう成り立っているのか理解が少なく、そもそもの家事能力も低い人が少なくないだろう(反省しているけれど僕も料理のレパートリーは少なかった)。

理由(2) 男性が定年まで働くという価値観があるから

 今は過渡期ともいえますが、これまでは男性が転勤も残業もいとわず働き、会社に人生のすべてを注ぎ込むことで成功するという一元的な働き方しか認められていませんでした。日本の場合は男女の賃金格差もあり、今、賃金格差は男性が100に対して女性は70(注2)。男性が30万円もらえるところ女性は約20万円という計算になります。男が家庭にいるよりも外で働いたほうがいいという考えにつながってしまう部分も。

理由(3) ここ数年でフルタイムの共働きが増えたから

 男性の働き方は変えないまま、主婦からパート、フルタイムと女性の働き方だけを変えてきた現状があります。これでは、働く母親の負担が増えるばかり。ここ数年でフルタイムの共働きが増加。男性の意識も社会の仕組みも変わりつつあるものの、まだ追いついていないのが現状です。

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「夫が妻を扶養する」イメージだった日本の結婚制度が変わりつつあり、夫婦2人で協力して生きる時代になった以上、価値観や思っていることの違いをどう埋めるか。夫婦はこれまで以上に真剣に話し合わないといけないと思います。収入が下がるのを許容して男性が育休を取って育児・家事をするとか、奥さんのほうが年収が高いなら夫が時短勤務をして育児・家事をするという選択があってもいい。自分たち家族の最適解についてぜひ話し合ってみてください。

注1:平成30年11月内閣府男女共同参画局「第1子出産前後の女性の継続就業率」及び出産・育児と女性の就業状況について
注2:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より

©iStock.com

これからパパになるあなたへ、突然の「ポンコツ化」を恐れずに

 これから父親になるあなたと、母親になる女性に僕がアドバイスできることはひとつだけ。男は父親になる過程で一時的にポンコツ化する。でも、その姿は「情けない」ことではないということです。

 今まで男性は自分で状況をコントロールすることで受験や仕事で成果をあげてきました。それが、これまでの男性の仕事だった。でも、妊娠・出産・育児はどう足搔いてもコントロールできません。泣きわめく赤子を前になす術もなく、状況を制御できない自分に男性は無力を感じる。それまで男性を支えてきた「俺はできる」という有能感が目減りしていきます。