徳田 今回の新型コロナも、どんな性質を持っているかは、まだよくわかっていません。感染後の後遺症についてもよくわかっていませんから、たとえ軽症でも「たんなる風邪」では済まされないかもしれない。コロナの後遺症で慢性疲労症候群や肺線維症、気管支拡張症、脳症のような人が大量に出たら、大変なことになります。
米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長も、米国が他の感染国に比べて検査件数が極端に少ないという批判に対して、3月12日の連邦議会で「現在の検査システムは我々の必要に追いついていない。それを認めましょう」と正直に証言しました。医師は、オスラー先生の関連書籍を読んで、謙遜の徳を持ってほしいです。
今後期待できるのは「抗原検査キット」
──コロナを完全に封じ込めてからGO TOトラベルを実施するのが理想だと思いますが、延期または中止すべきという声があるにもかかわらず、政府がGO TOトラベルを見切り発車しました。これについては、どうお考えですか?
徳田 GO TOトラベルを行うならば、旅行者の検査を徹底的にすればいいと思います。徹底した陽性者の保護隔離をすれば、ある程度人を動かせることは、もうわかっています。実際に検査と保護隔離政策を徹底的に行うことで、経済を回復させた国が増えています。
今後期待できるのは、「抗原検査キット」の一般化です。PCRだと結果が出るまで時間がかかりますが、これなら唾液を垂らして30分で判定できます。ハーバード大学の感染症疫学専門家が提案しているように、抗原検査キットを、妊娠反応検査キットのように、大量生産してドラッグストアで買えるようにするとよいでしょう。
抗原検査の価格は当初1キット5000円くらいだったのが、500円くらいで手に入るようになるだろうと予想されています。アメリカでは、1ドルまでコストが落ちるのではないかとすら言われている。旅行する人には、これを自分で買ってもらったらいいんです。抗原検査はPCR検査に比べて感度が低いですが、仮に感度が50%だったとしても、検査を頻回に行えば引っ掛かる確率が上がりますので、「感染性」の発見・除去を目的とするなら、抗原検査を繰り返すことで十分です。
エリアをまたいで旅行する人には、移動日の前日から毎日検査をしてもらい、COCOA(新型コロナウイルス接触確認アプリ)などと連動したアプリをつくって、その結果を毎日入力してもらうようにする。そして、陽性と入力した瞬間に情報が保健所に転送されるようにして、迅速に現地の宿泊施設に保護・隔離をして、移動せず2週間留まってもらうようにする。