6月1日、YouTubeチャンネル「Repezen Foxx(6 月6日時点のチャンネル名)」で、公開された動画が話題を集めている。
《自分でここまで大きくした会社をクビって……悔しいよ……》
動画で涙ながらに語っているのはRepezen Foxx(元レペゼン地球)のリーダーDJ社長だ。DJ社長は、レペゼン地球が2020年12月26日の福岡ドーム公演で突然解散した原因には、前所属事務所Life Group株式会社との諍いがあると主張している。
文春オンライン編集部は、DJ社長と、前所属事務所の筆頭株主兼代表取締役であるH氏の双方に取材(DJ社長編#1、H氏編#2)。彼らの主張にはいくつもの相違点があるが、主にはこの6つが争点となっている。
1 Life Group株式会社の株を100万円でDJ社長が買い戻せるか
2 H氏からの4800万円の退職金要求は妥当か
3 H氏が楽曲の権利やレペゼン地球の商標権を主張するのは妥当か
4 メンバーとLife Group株式会社の専属契約は適切だったか
5 専属契約締結の方法は適切だったのか
6 H氏の経営は適切だったのか、背任や横領の疑いはないのか
それぞれの点で、「分がある」のはどちらなのだろうか。株式の譲渡や芸能関係の契約書について、それぞれ詳しい弁護士2名に話を聞いた。
「書面を交わしていない約束で、株を取り戻すのは難しい」
まずは、【1 Life Group株式会社の株を100万円でDJ社長が買い戻せるか】。
2015年1月、約6000万円の借金を背負っていたDJ社長に代わってH氏が100万円を出資し、Life Group株式会社を立ち上げた。DJ社長によると「H氏は、借金の返済が完了したら、設立時出資した100万円で会社を譲ると約束をしていた」ため、DJ社長は2019年初頭にH氏の持つLife Group株式会社の株を100万円で買い戻したいとH氏に主張した。
しかしH氏は拒否。文春オンラインの取材に対して、100万円で会社を買い戻させるという約束自体について、「覚えていないのでわからないです」と回答しており、双方の主張は平行線だ。
このやりとりに対し、「書面を交わしていない約束で、H氏名義の株を取り戻すのは難しい」と解説するのは、牛島信弁護士だ。牛島弁護士は一般企業法務、M&A、ガバナンスなどを専門分野にし、企業経営者等に対して、正しい企業統治に係る啓発や情報発信を行う「日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク」の理事長も務めている。
「問題点は口約束だったということ。法人を設立するにあたり、信頼関係があろうとも書面を交わさなかったということがDJ社長の最大のミスです。借金返済を済ませた後、DJ社長に全ての株式を譲渡するという内容の契約書を、この時点で結ぶべきでした。
また、仮に現在のLife Group株式会社の全社株を、会社設立当時の資本金である100万円で売買を行なった場合にも問題が発生します。設立当時に比べ、Life Group株式会社の売り上げは格段に上がり、会社としての価値も上がっていると考えられる。この状況でH氏が全社株を100万円で売ると、本来の株の価値との差額をDJ社長へ贈与したことになり、受け取った側に贈与税の支払い義務が発生してしまいます」