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 振り返れば、昨年7月の都知事選前までは、小池さんも輝いて見える時期がありました。4月には、総額約8000億円の対策を打ち、休業要請の協力金支給、中小企業への融資等を矢継ぎ早に決めた。軽症者向けに品川プリンスホテルを一棟借り上げもしました。彼女にすれば、自身の選挙対策でもあったわけですが、アベノマスクや10万円の給付金でもたつく安倍前首相をしり目に、手際がいい印象を与え、「どちらが総理かわからない」と持ち上げるメディアまで出たほどでした。でも、発言するだけで行動に移されなかったこと、立ち消えたものもとても多い。メディアはきちんと検証して伝えるべきでした。

©共同通信社

「東京アラート」、「休業要請のロードマップ」と派手に記者会見で発表された政策は、わずか1カ月で廃止されたのです。自分は独創的でこんな面白いことを考え付けるのだと見せつけたかったのでしょうが、すべて軽い。考え抜かれていないのです。本質でないほうに向かい、遊びのような「肝煎りの政策」を打ち出し続けています。

責任を取らされるのはイヤ

 だいたい、最初の都知事選でも、待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、満員電車ゼロなど「7つのゼロ」を公約にしましたが、ほとんど実行されていません。そもそも実行する気もなかったのだと思います。受けを狙って面白そうなことを口にする。やれなくてもいいと思っている。彼女の発想は常に広報的です。政治家でも行政官でもなく、本質的にはタレントなのです。途中でやめてしまっても、メディアの追及が甘いことを知っているので、何度でも繰り返します。

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 幹ではなく枝に向かうという特徴的な性質の裏には、重大な決断にはかかわりたくないという、小池さんの、あまり気づかれていない本質があります。彼女の実績として何か思い浮かぶことがあるでしょうか。実態は、さびしいものです。環境大臣時代はクールビズ、防衛大臣時代はほぼゼロ。次官人事で世間を騒がせただけで、いずれの時代も「幹」に触れる仕事をしたわけではありません。都知事になれば、幹のほうをやらなければいけない立場であるのに、それをやろうとしないし、やれない。そのことが少しずつバレてきたのがコロナのこの1年でした。