東京五輪・パラリンピック開会式の楽曲担当を電撃辞任したミュージシャンの小山田圭吾氏。雑誌上で凄惨極まりない「いじめ体験」を大っぴらに告白する“異常事態”は、いかにして起きたのか――。
サブカルチャーに造詣が深いロマン優光氏は、2019年に上梓した『90年代サブカルの呪い』(コア新書)の中で、〈当時の空気、サブカル色の強いミュージシャンとしての当時の氏の立ち位置からすれば、悪趣味/鬼畜系文化の影響のもとに起こったものであろうことは容易に想像することができます〉と綴っている。ここでは同書より一部抜粋して、紹介する。
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小山田圭吾のいじめ問題
小山田圭吾氏と言えば、フリッパーズ・ギターやコーネリアスとしての活動で知られるミュージシャンですが、本稿で扱うのは彼のその側面ではありません。ネット上で未だに語り継がれている、90年代に行われた、彼のいじめ加害者としての告白インタビューについての話になります。
正確に言うならば、そのインタビューが誌面に掲載されて一般書店に流通していたことについての考察であり、インタビューや記事の内容に細かく触れることはありません。本書の主旨から外れるからです。本書の中で、彼を過去のその行為で断罪する気もありませんし、擁護する気もありません。
ネットで問題にされてるのは『ロッキング・オン・ジャパン』(ロッキング・オン)の94年1月号に掲載されたインタビューと、そのインタビューの内容に興味を抱いた村上清氏が企画した、95年8月に刊行された『クイック・ジャパンvol.3』(太田出版)に掲載されている、いじめをテーマにした記事及び記事内で行われているインタビューです。凄惨極まりないいじめ(障がい者に対するものも含む)について面白おかしく語った部分が未だにネット上で非難されています。当たり前の話だと思います。