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《安倍元首相銃撃》「家を全然出たがらない子だった」「挨拶しても俯いたり、目をそらす」“計画的な犯行”で元首相を銃殺した山上徹也容疑者(41)の“正体”とは

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 自宅の家宅捜索も事件当日の17時頃から行われた。午後6時過ぎには爆発物を移送する特殊車両が到着。県警が「爆発する可能性のあるものを運び出すから離れてください。遮蔽物のある場所に隠れてください」と周囲の報道陣や近隣住民に大声を張り上げて呼びかけ、あたりは騒然となった。

車両のドアを壁にして、運び出すものを見せないようにしていた ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

 防護服に身を包んだ捜査員は、黒いガムテープを巻きつけた筒状のもの複数個を運び出している。筒状のものは赤色の導線などが取り付けられていて、発生現場で目撃された「手製の銃」と似ていた。午後9時半には「新たに危険物と見られるもの」が発見されたとして、県警はマンションの住民や周辺住民に対して避難を勧告する場面もあった。

パトカーで道路をふさぐ県警と、その様子をスマホで撮影する市民。規制内に自宅がある市民は「何が起きているのか。家に帰ることができない」と不安そうな表情を浮かべた ©文藝春秋 撮影/上田康太郎

爆発物を作った自宅では「目をそらす愛想のない人」

「安倍元首相は応援演説の予定を、前日夜に急遽、激戦区の奈良に変更しています。一見、偶然地元にやってくる安倍元首相を狙った、衝動的な犯行のようにも見えますが、山上容疑者は逮捕後の取り調べで、『最初は小型のダイナマイトで殺そうと思ったが、実験をしたらできないと分かった。春には既に銃を数丁完成させていた』と供述しています。

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 もともと宗教団体関係者を狙っていたという話も出ていますが、いずれにせよかなり前から準備した計画的な犯行だった可能性があります」(前出・捜査関係者)

 山上容疑者は犯行現場の奈良市で生まれ育ち、1999年、地元の名門進学高校を卒業。その後、2020年秋から今年5月までは派遣社員として京都府内のプラスチック製品会社の倉庫で働いていたという。逮捕時まで住んでいたマンションの隣室の男性は、山上容疑者の陰鬱な印象をこう振り返る。

山上容疑者の自宅 ©文藝春秋

「この1年で山上容疑者を見たのは5回ぐらい。彼が朝6時頃、出勤時にエレベーターで乗り合わせた時ぐらいです。私服は地味で、私が挨拶しても俯いたり、目をそらす愛想のない人でした」

 幼少期の山上容疑者を知る地元住民もこう口を揃える。

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