「一部だけが真新しい」再生した橋梁を次々と渡る
7時11分、只見を発車。只見町の中心部を離れると、右へ大きくカーブしながら長い鉄橋を渡る。小さな集落の隅っこにある会津蒲生が最初の停車駅。片面ホームは2両編成でも収まらないほどの短さで、只見からワンマン運転となった列車の後ろ1両はドアの開閉がなく、ホームから外れて停車する。そんな小さな駅が、この後も続く。
会津蒲生と次の会津塩沢の間で、列車は右真横に流れる只見川に沿って走り、7時25分、ブルーの第8只見川橋梁を通過する。
この橋は平成23年7月の集中豪雨でかろうじて落橋は免れたものの、破損した橋梁の改良や盛土の補強などにより復旧した。他方、ここから会津川口までの間に渡る3つの橋梁は、いずれも豪雨時の河川の増水により落橋してしまったため、架け直された。
車内から各橋梁をじっくり観察するのは難しいが、沿線各地にある橋梁のビューポイントから走りゆく列車を眺めてみると、渡る橋梁の一部だけが真新しかったりして、それがかえって被災の規模の大きさを感じさせる。
車内はいつの間にか「都会の通勤ラッシュなみの大混雑」に…!
8時01分、只見川のほとりにある会津川口駅のホームに滑り込む。復旧区間の旅はここまで。小出からここまで途中駅で誰も下車せず、行楽客ばかりが少しずつ増えていったので、車内に空席はほとんどなかった。
だが、その4分後に反対方向からやってきた小出行き1番列車の混雑ぶりは、こちらをさらに上回っていた。2両編成の車内は通路まで行楽客が立ち並んでいて、ここから乗ろうとすると、空席どころか、窓外を眺めながら落ち着いて立つ場所さえ確保が難しい。山手線か大阪環状線の通勤ラッシュを思わせる盛況ぶりだ。
平日でこれでは、休日になったらどれほど混み合うのか想像がつかない。これが本当に、赤字で廃線さえ噂された只見線の定期列車なのだろうか。