日本テレビ系の演芸番組『笑点』の大喜利コーナーに、先週2月5日放送分より春風亭一之輔が新メンバーとして登場した。

長寿番組に若返りの兆しが

『笑点』では、昨年2月に、1977年よりレギュラー出演してきた三遊亭円楽(6代目)が病気で休演して以来、東西の各団体から落語家たちが週替わりで代役を務めてきた。だが、残念ながら円楽は9月に亡くなり、新たなメンバーを迎えることになる。今年元日の特番で新メンバーは2月に発表すると告知されるや、何人かの落語家の名前が下馬評に挙がり、なかでも一之輔は、実力・人気ともに十分とあって本命と目される一方、同じ理由から多忙をきわめるだけに、このうえ『笑点』に毎週出るのはありえないと否定する見方もあった。

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 しかし、ふたを開けてみれば、司会の春風亭昇太に呼ばれ、舞台に現れたのはやはり一之輔であった。一之輔は先月28日に45歳を迎えたばかり。『笑点』メンバー最年長の林家木久扇とはじつに40歳違う(あの歳でいまだに出演を続ける木久扇もすごいが)。1年前には、一之輔より学年でいえば1つ上の桂宮治がひと足先にメンバー入りしており、56年続く長寿番組も若返りの兆しが見える。

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ミスをした後輩にかけた言葉

 一之輔といえば、筆者は思い出すことがある。それは昨年11月、名古屋で開かれた蝶花楼桃花の真打昇進披露興行でのこと。桃花は、昨年3月に真打昇進とともに高座名もそれまでの春風亭ぴっかり☆から改めた。今回の『笑点』新メンバー発表を前に下馬評に挙がった一人でもある。一之輔とは師匠(彼は春風亭一朝、桃花は春風亭小朝に師事)がいずれも先代(5代目)の春風亭柳朝の弟子で、同じ一門の先輩・後輩という関係だ。

 名古屋での昇進披露は一之輔を最年長として先代柳朝一門の若手により行われたが、そこへアクシデントが発生する。この日の主役である桃花が、披露口上で着る黒紋付を忘れてきてしまったのだ。口上前に高座に上がった一之輔は、演目に入る前のマクラでこれをネタにしたかと思うと、じつは自分も真打昇進時、地元・千葉県野田市での披露興行で黒紋付を忘れてしまったことを明かした。