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「あんなにおとなしくて、この世界大丈夫かな?」と思われて…35歳になった平野綾の“同級生と話せなかったころ”

平野綾さんインタビュー#1

2023/04/02

genre : エンタメ, 芸能

note

「中学生の時には学校で『綾波レイ』と呼ばれてました(笑)」

――お仕事をするようになってからも、おとなしい性格は変わらず?

平野 あまりにもしゃべらないから、中学生の時には学校で「綾波レイ」と呼ばれたこともありました(笑)。自分の席でずっと本を読んで、休み時間になるとすぐ図書室に籠もってました。

――本を読むのはお好き?

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平野 うちの家系、出版関係の人間がいて、祖父は出版社で井上靖さんの原稿取りをしていたんです。父も父の弟も作家さんの名前をいただき、私の名前の「綾」は、三浦綾子さんから取ったと聞きました。だから生まれた瞬間から、本に囲まれていたんですよね。

 友達がいなかったから本が話し相手で、本ばかり読んでいましたね。大事なことは全部、家でも外でも本から学びました。

――中学生時代には何を読んでいましたか?

平野 その頃から根性が曲がり出したので、サルトルばっかり読んでました。サルトルは途中で思想が変化していくんですけど、私はすごく頑固で融通が利かないところがあるので、その柔軟さにむしろ衝撃を受けました。

――哲学書なんですね。もっと物語的なものかと思いました。

平野 物語的な作品でいちばん好きなのは『エレンディラ』ですよ。

――ガルシア・マルケス。ノーベル文学賞受賞作家ですね。

平野 あまりに好きで、スペイン語版の映画を英語字幕で観ていました。まっ白な砂漠で青空の下で逃げ出す、あの『エレンディラ』のラストみたいな人生を送りたいです。

――平野さんが吹き替えをやったディズニー映画『ミラベルと魔法だらけの家』(ミラベルの姉イサベラ役)は、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』にも通じると感じました。黄色い蝶も出てきますし。

平野 私もすごく大好きな作品です。コロナ禍になってからは『コレラ時代の愛』を読んでいました。

 

――話を中学生時代に戻しますと、図書室が居場所だった?

平野 図書委員になって、本の買い出しで自分が読みたい本ばかりをおすすめして、先生に怒られたこともありました。当時は夢枕獏さんにハマっていて……。