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資産価値がある部品は全て回収されてしまう

ーーこうして車内で取材しているとキョロキョロしてしまいますが、ICカードを当てる機械や整理券発行機、運賃箱が見当たらないのですが。

センパイ そういうのは最初から外されていましたね。運賃箱や整理券の装置は使い回すんですよ。運賃表示器や車内放送の機械なんかも取られています。資産価値があると見なされて、回収されるんですよね。

 ただ、都市部のバス会社から地方のバス会社に車両が渡るときは、あえて運賃箱を外すそうです。その地方の運賃に即した運賃箱を設置するのが手っ取り早いらしくて、外されていたほうが簡単に取り付けできるので都合がいいらしいです。

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初めてのケースが多く戸惑う警察

ーー一定台数以上の大型車の使用者は、整備や点検ができる整備管理者を選任する必要もあると聞きました。

センパイ 整備管理者に関しては、30名を超える定員を乗せることができる大型車から必要になります。ただ、このバスには吊り革がないんです。ということは「立って乗ることもできる」っていう前提がなくなって、座席だけになるんですけど、座席だけだと定員が29名になるんですね。それで整備管理者は必要じゃなくなると。

定員29名の中古路線バスの車内 吊り革は全て外されている

ーーたとえば、雰囲気が出るからとカーアクセサリーとして吊り革を下げると、即定員30名とカウントされてしまうということでしょうか?

センパイ 東京の車検場の人に聞いたら「ダメじゃないかなぁ?」という感じだったんですが、埼玉の車検場だと「下げたって、30名も乗せないでしょ?」って感じで。都道府県でも車検場でも解釈が違うんですよね。

「そんなに乗せないでしょ」っていうのは、たしかにそのとおりで。下げていたらダメという確固たる根拠らしきものはないようなんです。

 大きな初心者マークも車体につけてたりしていて、それも法令的に微妙だったんで警察に「模したものを作って、つけていいんですか?」と聞いたら「ダメです」と言われて。少し経ってから警察から折り返し電話がきて「確認したら大丈夫でした」と。さっきのスクールゾーンの話もそうなんですけど、はじめてのケースが多くて警察の方も戸惑うみたいですね。

自作の初心者マーク

大型免許の取得は普通免許を取るよりも時間がかかる

ーー初心者マークは、わすこさんが運転するときにつけていますよね。わすこさんはバスの落札に合わせて大型免許を取ったのでしょうか。

わすこ 彼に拉致されて教習所へ(笑)。

センパイ 僕が勝手にというか(笑)。

わすこ いつのまにか申込書を用意されていて。「一度、どういう感じで練習してるのか見に行こうよ」と言われて、教習所に連れて行かれたんです。で、気づいたら窓口に立っていて、ハンコを押させられている、みたいな。