元エース記者が指摘する「日経の改善点」
後藤 そうですね、今でも日経は好きですし、良い感じで送り出してくれましたしね。でも、今、人もかなり減ってきているところもあるので、1人ひとりの仕事の負荷が増えたというのは正直あります。そうすると、当然、サラリーマンですからタスクを引き受けないといけない。これやりたい、これやりたくないとか関係なしに、やらなければいけないことをこなしていかないといけない部分で、やはり、窮屈さが年々増えてきたなというのは、辞める原因の一つとしてありますね。
高橋 後藤さんは日経のことが好きだと思うし、日経に対して別に敵対心を持ってるわけではないでしょうけれど、やっぱり辞めると決断したきっかけの一つとして、ここを改善した方がいいなとか、そういう思いがあるとしたら、どこだったんですか?
後藤 別にここ数年に始まった話ではないですけれど、私たちは組織ジャーナリズムというか、みんなで“作品”を作っていくわけです。私ならこれを書きたい、高橋さんならこういう番組を作りたいと思っても、当然のことながら100%自分の思い通りにはできないじゃないですか。高橋さんはかなり自由にできるのかもしれませんが。
それにはいろいろな理由があって、たとえば上司から「いや、そういうのより、もっとこういうテイストにしなきゃいけない」と言われると、当然、変えないといけない。でも、そこを話し合いで「やっぱり、こうした方がいいと思うんです」とキャップが言って記事が変わっていくことももちろんあります。新聞は1人のモノではないですし、コラムニストとして書いているわけでもないので、やっぱり会社の中でどういうふうにモノを作っていくかで決まっていきます。
当然、いろいろな人の意見がある中で、最終的に編集権限を持つ人たちが紙面を作っていくのは、組織ジャーナリズムとして当たり前のことではあるんです。