「応援鉄ツアー」のスタートが朝10時とゆっくりな理由

「応援鉄ツアー」は一人客も多いので、食事は自由食が基本。宿泊はビジネスホテルだ。2泊目は、富山地方鉄道が運営する富山地鉄ホテルだ。部屋は選べないが、運が良ければ有名なトレインビューも見られるかもしれない。

「交通事業者が運営している施設があれば、ルートに組めるようにしています。第1回で九州に行ったときも福岡のバスを借りたので、バス事業者の応援になるのではないかと。九州の中をあちこち回ったので、バスと鉄道を組み合わせることでうまくいったんですよ」

「くま川鉄道さんには『復旧したらまた来ます』と約束しましたし、熊本電鉄は静岡鉄道が使っていた電車の車体が走っているので、熊本で静鉄に再会ツアーというシナリオもできます。えちぜん鉄道にも元・静鉄の電車がありますから、『のと鉄道』や石川県の鉄道のツアーも実施したい。静岡県内も静岡鉄道のほか、天竜浜名湖鉄道さんの転車台(電車を載せて回転し、車両の方向を変える設備。鉄道ファンにはたまらない)とか遠州鉄道さんとか、日帰りでまとめてもいいなと」

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関東と関西で引退した車両が第二の人生を送る(大井川鐵道提供)

「応援鉄ツアー」は、朝10時に静岡駅に集合してスタートする。もうすこし早い時間にすれば行程にもゆとりが出そうだが、ここにも理由があった。静岡県民だけではなく、関東や中部からの集客も見込んでいる。東京駅からも名古屋駅からも、8時台の「ひかり」で静岡駅に集合できる。帰路ももちろん、東京や名古屋へ向かう新幹線に間に合う時間だ。

  大井川鐡道のSLに井川線の秘境、そして旅行業を組み合わせ、鉄道オンリーにこだわらず合理的にバスで回り、ソフトな鉄道ファンにも参加しやすいツアーをめざす。大鉄グループの総合力を結集している。静岡空港を拠点とする航空会社フジドリームエアラインズもチャーター便に力を入れており、遠征の心強い味方だ。

「大井川鐵道を復旧させるには、バスの部門まで含めて『大鉄』っていうブランドの力をより高める必要があると思うんです。ブランド力が高いところじゃないと、行政も積極的に支援してくれないでしょう」

「山本豊福の応援鉄ツアー」は「静岡発鉄道ツアー」のブランドとして成長していきそうだ。