そこはスパイの巣窟だったのか、それとも……。新型コロナウイルス対応の国の給付金をだまし取ったとして、警視庁公安部は5日、詐欺の疑いで、中華料理店などを経営する「東湖」代表取締役の徐耀華容疑者(62)と同社の経理担当だった小島敬太容疑者(28)を逮捕した。

「公安部は5日午前中に一斉に関係先の捜索に入りました。今回の逮捕容疑は小島が実際は働いていたのに休業したと嘘の申請をして休業支援金約375万円をだまし取ったとするもの。公安部は他の従業員についても同様に虚偽の申請をし、最大で数億円をだまし取った疑いがあるとみています」(警視庁担当記者)

中華料理店の家宅捜索に入る警視庁の捜査員

詐欺事件なのになぜスパイハンターの公安部が?

 通常、コロナ給付金に限らず詐欺事件は警視庁刑事部の捜査二課が担当するが、今回スパイハンターの公安部が事件に着手したのには当然、裏がある。

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 徐は1995年に東京・六本木に当時は珍しかった中国南部の雲南料理を中心とする中華料理店「御膳房」を開店。現在、「御膳房」グループとして六本木や銀座、渋谷など都内で複数の中華料理店を経営。

 実はこの徐には駐日中国大使館で三等書記官として勤務した経歴がある。

「大学で日本文学を学んでいた徐は文部科学省に相当する中国の文化部に配属後の86年、駐日大使館に赴任。89年まで務めた後、中華食材を日本に輸入する貿易業などに従事し、やがて料理店を始めたとされます」(同前)