Q 今も不安残る大阪万博……なぜ1970年は大盛り上がりだったのですか?

 大阪万博の開催が近づいています。工事の遅れや諸外国からの不参加表明など、何かと不安も残りますが、1970年の大阪万博は「とにかく盛り上がった」という話を聞きます。一体どうしてそれほど印象的だったのでしょうか?(20代・男性・学生)

1970年2月14日、万博の閉会式に出席され、手を振って応えられる皇太子ご夫妻(当時)。日本を含む77か国が参加し、総来場者数は約6422万人と、当時の過去最多の来場者数を記録した ©時事通信社

A 万博は一大イベントという印象がありましたが…

 当時の日本はまだ貧しく、多くの人にとって海外旅行は見果てぬ夢でした。でも、万博に行けば海外のパビリオンがあって外国人がいる。これが人気の秘密でした。会場で外国人に出会うと、サインをねだった人たちが大勢いたほどです。それほど外国人を見ることは少なく、海外のパビリオンは羨望の的でした。アメリカ館で展示されていた「月の石」も大人気でした。

多くの来場者でにぎわう、1970年の大阪万博の様子 ©文藝春秋

 万博というのは、開発途上国が先進国に追いつくための一大イベント。そんな印象がありました。ですので、海外が珍しくなくなった今の日本人にとって、万博は、あのときほどの魅力はないのです。

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