また、「居所不明児」として集計された子供は、住民票を異動しないまま、別の場所で生活している場合が多く、行政側が、「行方不明になっている」という危機感をあまり持っていないのも実情だ。
■かつての「居所不明児」が語る 「社会に見つけてもらえていたら人生変わっていた」
しかし、中には深刻な事態に陥っているケースも。
居所不明児だった 君塚龍二さん(28):しょうゆで味付けした水とかは、空腹なんで、何かしら味がついてるものが飲みたかった。(自分の)爪とか皮とか食べてましたね。
君塚龍二さんはかつて「居所不明児」だった。
小学1年の時に両親が離婚。自身を引き取った父は、生活能力がなく、「車上生活」が始まったのだ。
君塚龍二さん:頑張って拾った小銭で食べ物を買い、釣りをして魚をとる。日々何して生きようかな。やっぱり学校に通いたいと(思った)。
小学校には、入学から半年間ほどしか通えず。突然、学校に来なくなった自分を、探しに来る人は誰もいなかった。
君塚龍二さん:居所不明児童にとって一番困るのは、周りの大人との接点が一切ないこと。本人に相談する選択肢が一切ない。
そんな生活を4年ほど送ったある日、父親が脳梗塞で倒れたことをきっかけに、君塚さんは保護された。
君塚龍二さん:(父親が倒れて)半年後に施設に入った。早く社会に見つけてもらえていたら、人生変わっていた。
■事件化で居所が分かることも…
居所不明児などの「消えた子」について、社会の注目が集まったのはその後だった。
2014年、神奈川県厚木市のアパートから、死後7年以上がたった男の子(当時5歳)の遺体が見つかった。
発見のきっかけは、その年、中学生になるはずの男の子が入学せず、児童相談所が警察に相談したことだった。
こういった事件が相次ぎ、「居所不明児」などの所在の確認の必要性が認識されるように。
今年度の調査では、全国で74人の子供の居所が不明となっている。