赤富士と太陽

絹谷 幸二 画家
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画家で東京藝術大学名誉教授の絹谷幸二氏(82)は、長嶋茂雄と油絵を共同制作した。芸術を愛した長嶋の横顔を語る。

 1980年代の終わり頃、あるスポーツイベントでテレビ局の人に長嶋監督を紹介されました。

 お目にかかった瞬間、監督の方から「絹谷さん、私、絹谷さんのファンですよ」と声をかけられました。

絹谷幸二氏はミスターから「ファンです」と声をかけられた(絹谷氏提供)

 監督は現役時代、在籍10周年の記念に球団からもらった賞金で、私の師匠である林武先生の絵を購入されたとのこと。若い頃から絵画への造詣が深かったのですね。その林先生の弟子というつながりで私のことを知ってくれたそうです。「ワンちゃん(王貞治さん)も絵が好きなんだ」とも言っておられました。

 奈良で野球少年として育った私は大の阪神ファンだったのですが、天下の長嶋監督の「ファン」という一言で、大の巨人ファンに宗旨替えしました。

 それからは私の展覧会があれば必ず足を運んでくれましたし、互いの夫婦でよく食事もしました。私の絵からパワーをもらっていると言い、大切にしてくださいました。

 私が少年時代に、大リーグのスーパースターだったジョー・ディマジオに会ったとお話ししたことがあります。マリリン・モンローとの新婚旅行で来日した際、奈良を訪れて野球指導をし、私の実家の料亭にやってきたのです。監督にとってディマジオは目標だったそうで、感慨深そうに「本当は私もサードではなく、ディマジオと同じセンターを守りたかったんですよ」と言っていました。

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source : 文藝春秋 2025年8月号

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