ラーメン王国山形

鈴木 敏彦 「『ラーメンの聖地、山形市』を創る協議会」会長
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 総務省の2024年の家計調査で、山形市の1世帯当たりの中華そばの外食消費額が、3年連続日本一を達成しました。金額は約2万2300円で、前年から5000円近く増え、公表されている00年以降で最高額。2位の新潟市と約6000円もの差がつきました。「『ラーメンの聖地、山形市』を創る協議会」会長としては、嬉しい限りです。

 もともと13年から8年連続で山形市はトップを守り続けていましたが、22年発表のランキングでは新潟市に抜かれ、2位に転落してしまいました。その年の11月、「ケンチャンラーメン山形」の阿部勝重さんに「一緒に山形のラーメンを盛り上げよう」と声を掛けられました。当時はコロナ禍でもあり、私の店「麺辰」も苦しい時期でした。物価高、人件費高騰の波もいずれ来ることがわかっており、手を打たなければならないと考えていたので、「ぜひやりましょう」とタッグを組むことになりました。

鈴木敏彦氏 Ⓒ文藝春秋

 ただ、自分たちだけで出来ることには限界があります。そこで山形市のブランド戦略課に相談に行くと、とても面白がってくださり、驚くことに、12月にはラーメンプロジェクトの名目で2300万円もの予算を付けてくれました。

 私たちも仕事の合間を縫って、ラーメンを出している店に電話をしたり、直接行ったりして、仲間を増やしていきました。当初は4店舗でしたが、いまや協議会に参加する仲間は約160店舗に達しています。

 23年2月には佐藤孝弘市長が「ラーメンの聖地、山形市」を宣言。スープや麺の種類で店を検索できるHP「#推しメンやまがた」を開設し、紙のガイドブックも作成。皆で考えた「山ラー」の愛称を商標登録するなど、次々に手を打っていきました。

 市内各地にキッチンカーを出すといったイベントも行いました。最初に複合施設でやった時は、想定の倍以上のお客さんが来てくれ、本当に嬉しかった。

 このような、ラーメン店、業者、市が一体となった活動の結果、1位を奪還できました。協議会のメンバーから「山ラー効果すげえな」という声を沢山聞きますが、それはもともと山形に“ラーメン文化”が深く根付いていたからでもあります。

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source : 文藝春秋 2025年9月号

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